1. Context — 背景
百貨店系化粧品ブランド。セールス、マーケティング、商品開発、購買、物流の各部門がそれぞれに計画を持ち、組織全体を貫くマスタープランがない状態でプロジェクトは始まった。
2. Challenge — 課題
表面に現れていた課題は、欠品と過剰在庫の同時発生だった。必要な時に商品がなく、一方でOEMへの発注が膨らみ在庫が積み上がる。当初の依頼は、これを解決するための「需要予測ツールの導入」だった。
しかし構造を見ると、問題はツールの不在ではなかった。計画をいつ確定させ、何をトリガーに修正するのかというワークフローが定義されておらず、計画に責任を持つ部署も決まっていない。さらに事業計画と物流計画が接続しておらず、売上目標に対して、いつ・何を・どれだけ仕入れ、どれほどのキャッシュアウトが発生するのかが見えていなかった。
わたしたちが引き受けた真の問いは、「どのツールを選ぶか」ではなく「需給の意思決定の仕組みをどうつくるか」「それをどのようにしてオペレーションと接続するか」であった。
3. Approach — アプローチ
- 現状調査と課題の構造化 — 部門横断でヒアリングを行い、計画業務の流れを可視化。ツール導入より先に取り組むべき論点をクライアントと合意した
- S&OP業務フローの設計 — 計画の確定・修正サイクル、意思決定の場、部門間連携のポイントを定義。あわせて、継続運用のための会議体と役割分担を整えた
- 需要予測の設計 — デマンドプランナーが予測すべき対象商品を切り分け、商品特性に応じた予測手法の使い分けを定めた
- モノとカネの接続とダッシュボード化 — 物流計画を事業計画へ金額換算するロジックを設計し、Tableauで可視化するダッシュボードをデザイン。IT部門リーダーと要件定義を行い、使い手となる購買チームと調整を重ねて実装した


4. Impact — インパクト
検討されていた高額な需要予測ツールの導入は見送りとなり、既に導入済みのTableauを活用する方針へ転換した。追加のツール投資を発生させることなく、需給計画の基盤が立ち上がった。あわせて、組織として専属デマンドプランナーを設置する意思決定がなされた。ツールではなく、計画に責任を持つ「人」と「流れ」が組織に実装されたことが、このプロジェクトの本質的な成果である。

