1. Context — 背景
株式会社バンドウは、Xcraft代表の三角が取締役を務める、大阪のリフォーム会社である。ある物件のリフォームを受注したことをきっかけに、物件を所有する不動産会社から「民泊として運営してみないか」というオファーを受け、宿泊事業への参入を決めた。大阪へのインバウンド客が増え続けるなか、本業の施工力を活かした新たな収益基盤の構築がテーマとなった。
2. Challenge — 課題
民泊は参入しやすく見えて、収益化までの壁が二段構えになっている。開業前には、特区民泊の特定認定、消防法対応、廃棄物の届出、住民説明会といった許認可の壁。開業後には、無人チェックイン、多言語対応、24時間の緊急対応といった運営の壁。どちらかで設計が甘いと、開業できないか、開業しても手離れせず本業を圧迫する。
引き受けた問いは、一棟の宿を開業させることではなく、リフォーム会社が本業の力を活かしながら、ほぼ手をかけずに回り続ける事業としてつくりあげることだった。
3. Approach — アプローチ
- 市場調査と収支設計 — 大阪のインバウンド需要と周辺相場を調査し、価格・稼働率から投資回収を設計。物件の賃料交渉から関与し、固定費を抑えた事業構造をつくった
- 許認可・法規対応の一貫実行 — 特区民泊の特定認定申請、消防法対応(設計届から立入検査・適合通知まで)、廃棄物処理の届出、近隣への住民説明会を、行政との折衝を含めて実行した
- 空間設計のディレクションと自社施工 — 「町の営みを巡る滞在」をコンセプトに空間をディレクション。小上がりの造作を含む施工はすべてバンドウが自社で行い、想定工費約150万円を材料費約60万円まで圧縮した
- 無人運営のオペレーション構築 — Airbnbへの登録・運用、ビデオ通話によるチェックイン体制、24時間電話対応と清掃体制、日英中3ヶ国語の利用案内までを整備し、ゲスト対応がほぼ自動で回る仕組みにした

4. Impact — インパクト
開業後の稼働率は8割を超えて推移し、開業から1年間で売上約300万円超の見通しが立っている。初期投資は自社施工により材料費の約60万円(家具・リネン等除く)に抑えられたため、開業後数ヶ月で回収できる計算だ。インバウンドを中心とした宿泊需要が、リフォーム会社の本業とは独立した収益柱になった。
代表自らが取締役として参画する事業だからこそ、稼働率から投資回収まで包み隠さず開示している。事業設計から許認可、運営構築までを自らのリスクで実践し、収益化させた経験は、そのままクライアント支援の手法の検証にもなっている。この仕組みは2棟目以降にも展開できる。
