1. Context — 背景
埼玉県のある市の市議会議員。市では日本人人口が減少する一方で外国人住民が急増しており、外国人比率はかつてないスピードで上昇していた。この変化に行政としてどう向き合うか —— 多文化共生をテーマにした一般質問に向けて、政策リサーチと資料整理の支援依頼から始まった。
2. Challenge — 課題
一般質問の持ち時間は限られている。感覚論や一般論では、行政の有効な答弁は得られない。議論を前に進めるには、データで課題の規模と速度を示し、市の計画のどこに空白があるかを特定し、「同規模の自治体では既にやれている」という比較の裏づけまで揃える必要がある。しかし、議員が一人で政府統計と膨大な行政資料を読み解くには時間が足りない。
引き受けた問いは、資料を集めることではなく、議員が限られた持ち時間で行政と噛み合った議論をするための論拠を使える形に揃えることだった。
3. Approach — アプローチ
- データによる現状の定量化 — 政府統計をもとに外国人人口と比率の推移を分析し、変化の規模と速度を数字で示した
- 行政資料の読み込みと論点整理 — 市の総合計画・関連計画など膨大な資料を網羅的に読み込み、「国際交流」を生活支援・教育・文化交流・地域活性化・海外展開などの分野に分解。取り組み事例×市の現状×仮説を一枚のマップに整理し、市の空白地帯を特定した
- 同規模自治体のベンチマーク — 人口規模の近い自治体の多文化共生・国際化施策(推進計画、所管体制、事業内容)を調査し、市との差分を可視化した



4. Impact — インパクト
議員による議会での提案の後、外国人相談窓口の設置をはじめ、市の多文化共生への対応が動き始めた。この結果を受けて継続の依頼があり、次の議会に向けては産業振興をテーマに、市の決算・目的別歳出のデータ分析を含む政策リサーチを支援した。
議会の一般質問は、地域を動かす民主主義の道具である。議場に立つのは議員だが、その足元を支えるデータと論点の整理には、リサーチの専門性が活きる。議員の問題意識を、行政と噛み合う論拠で支える仕事となった。


